杉本博司 絶滅写真

東京国立近代美術館で「杉本博司 絶滅写真」を観た。杉本博司の写真を初めて観たのがいつだったのか分からないのだけれど、1992年1月に発行されたdeja-vuで「海景」が特集されていたようなので、この頃だったのではないかと思う。もっとも、雑誌に掲載された写真を観ることや、何らかの企画展で数点の作品を観ることはあっても、今回のようにA0判の2倍以上もある大きなプリントをまとめて観る機会はなかった。あらためて「ジオラマ」、「劇場」、「海景」といった有名な作品をオリジナルプリントで観てみると、精緻さや迫力といったものよりも、むしろ何と言うか微妙な緩さというか、コミカルさというか、余裕や楽しさが感じられた。今回の展示では作品の横に杉本博司の言葉と狂歌が添えられていたからかもしれない。時間をかけた慎重な準備と丁寧な仕事の上に成り立っている作品ではあるのだけれど、観る人を突き放したり圧倒したりはせずに、適度な距離感で語り合うような作品に感じられた。