国立劇場の文楽鑑賞教室で「絵本太功記 夕顔の段・尼崎の段」を観た。ここ一年ほど演劇を何度か観て来た中で、俳優よりも抽象度が高い人形の演技はどんな感じなのだろうと興味が湧いて、文楽初心者にも楽しめそうな公演のチケットを購入したのだが、人形も然ることながら、太夫の語りや三味線のリズムと音色に魅了された。大衆的なストーリーは突っ込みどころや余白が多く、江戸の庶民も茶々を入れながら観ていたようにも思えるのだが、語りと音楽に煽られながら動き回る人形の姿には迫力があって、小さな小屋で想像力に優る観客を前に演じたら大いに盛り上がりそうな気がした。そういえば四半世紀ほど前にアジアのいくつかの国で人形劇を観た折に、技術の継承の大事さを感じた記憶があるが、日本の文楽は若い世代の方々に脈々と技が継承されているようで、どこかのライブハウスか小劇場で太夫の熱い語りと三味線のビートが絡み合う新作文楽を楽しめるような機会があるかもしれない、と期待してしまったりした。