東京オペラシティで高関健が指揮するTCPOの第384回定期演奏会を聴いた。前半は、荒井英治をソリストに迎えたショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第2番で、やや重心を下げて質量のある音を機敏に動かすオーケストラと、その上を縦横無尽に走る荒井英治のヴァイオリンの音色の響き合いが素晴らしかった。プレトークで高関健が話していたショスタコーヴィチの「疲れ」や、プログラムに荒井英治が書いていたショスタコーヴィチが抱える「カオス」に思いを巡らせながら聴いていたこともあってか、聴き慣れないこの曲にひどく心を動かされた。後半は、武満徹のア・ウェイ・ア・ローンⅡを挟んでから(プログラムとしてのまとまりは感じられたものの、続けてショスタコーヴィチを聴きたい気持ちも否定し難かった。)、同じく荒井英治をソリストに迎えてショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番が演奏され、こちらは、音数の多いスコアを高速で演奏するためだろうか、第2番よりもオーケストラの重心が少し上がったように感じられた。荒井英治が描く音のラインはの引き続き生命力を持って力強く、第1楽章で弦が切れ、楽章の終わりまでコンマスの楽器に持ち替えるハプニングはあったものの(異なる楽器の響きを楽しむチャンスに恵まれたのは嬉しかった)、緊張感は途切れることがなく、最後の四楽章に向けて圧巻の演奏だったと思う。満足感の高いコンサートで、全体的にはそれほどクラッシック音楽通といった雰囲気でもない客席から、必ずしもポピュラーとは思えないこの曲の演奏に向けられた拍手とブラボーは、長く、分厚く、温かく、奏者の表情にも充実感が感じられた。