TOHOシネマズ宇都宮で是枝裕和監督の「ルックバック」を観た。知人がこの映画の制作に関わっていたこともあり、早めに映画館に足を運びたいと思っていたことと、シルバーウィークに一日くらいは東京を離れてみようか、という企画が結びついて奥さんと宇都宮の映画館で観ることになったのだけれど、有名餃子店の数時間待ちの行列に並ぶ気にはなれず、二荒山神社の参拝やオリオン通りの散歩だけではやや物足りない、そんな気分を一気に吹き飛ばしてくれる素晴らしい映画だった。図式的に眺めると、外向的で読者を楽しませることを得意として歓びを感じる顔と、内向的で職人的な技を大切にする顔、そんな両面の出会いが作品を生み出していた幸福なアマチュア時代をプロとなったクリエイターが振り返り、当時の自分からなぜ作品を創り続けるのかを問われる、その問いに向き合うことを引き受ける、そんな印象を受けるのだけれど、そうした図式的な理解には還元できない魅力がこの映画にはたくさん詰まっていて、ひとつひとつを挙げていくと限がないのだけれど、個人的な大切な想いを丁寧に磨きあげて形にしたものを受け取ったという気持ちになるひとつの大きな要素は、舞台となっている秋田の風景なんだろうな、と思う。奥さんもこの映画のことが好きなようで、東京に戻る帰りの車の中や、帰宅してお酒を飲みながらいろいろと話したりして、そんな時間を過ごしながら、今の自分が振り返ることができる昔の自分はどこにいるんだろう、自分にも窓に貼りつけられるお札があったりするだろうか、そんなことをぼんやり考えたりした。それから、今回は生憎のお天気で宇都宮を十分には楽しめなかったので、次回はもっと宇都宮や栃木の魅力を堪能したいと思っている。