伊豆トレイルジャーニーを特集したNHKの番組を観て、あの場所に行ってみようと思い立ち、初めてのトレイルランニングシューズを新調して、GW中の好天に恵まれた日を選んで伊豆山稜線歩道に出かけてきた。とはいえ山道を走る体力もスキルもないので、無理のない範囲でのスピードハイク、どこまで行けるかは身体と相談しながら決めようと朝8時30分に天城峠バス停をスタートしたのだが、15時過ぎに舩原峠に辿り着いたときにはその先に進む時間も体力もなくなっていた。24.6キロを6.5時間、昼食や休憩の時間を除いて考えると、おおむね同じ距離を近所で走った場合にかかる時間の2倍かかった計算になるだろうか。Power Weight Ratioに劣る中年男性には、上りも下りも足へのダメージが大きかった。次女が同行していなかったら、もっと時間がかかっていただろう。疲労度は大きかったが、道々で富士山や西伊豆の海を見晴らせる景色は素晴らしく、また二本杉峠から猫越峠にかけての新緑が美しいブナの大木や、太陽と風雨に晒されて白くなった魂の山の倒木、姿は見えないけれど声が聞こえてくる鶯やモリアオガエルなど、多くの生き物たちの存在に触れることができて、良い一日だった。帰りはドライブを楽しんできた長女に舩原峠でピックアップしてもらい、温泉と軽い夕食を楽しんでから帰宅した。
2022年4月は80キロ
2022年4月の月間走行距離は80キロだった。4月前半は来京した妻の両親と旅行に行ったり野球を観戦したりとイベントが盛り沢山で、ランニングを疎かにしてしまった。が、先週、初めてのトレイルランニングシューズを調達し、来月中、早ければこのGW中に、トレイルランニングならぬトレイルウォーキング、つまりハイキング(できる範囲でスピードハイク)を楽しみに伊豆山稜線歩道に出かけることになりそうだ。ゆくゆくは、何度も出かけた野反湖から草津に抜けるスパトレイルにトライできたらと夢想してみたりもしているのだが、今の体力(と体重)ではとてもとても無理そうで、まずは久々に山道を経験してみることから始めてみたい。
マーラー交響曲第5番(大野和志/東京都交響楽団)
東京芸術劇場で大野和志指揮/東京都交響楽団のマーラー交響曲第5番を聴いた。大野和志と都響の演奏は、数年前に年末の第九を聴いたときに、何度も聴いてきた曲が改めて輪郭をくっきりとさせたような、見慣れた風景が特別な光でいつもとは違う存在感を現したような、そんな感動を覚えたのだが、今日のマーラーも、この曲の複雑さ、美しさ、怪異さ、滑稽さ、様々な要素が熱を帯びたオーケストラの音から立ち上がってきて、一流の素材を一流の料理人が捌いた切れ味抜群の料理が次々に運ばれてくるような豪華さがあり、これを満腹を気にすることなく堪能できるというのは、なかなか幸せな経験だった。
第9番も、是非、大野和志と都響の演奏を聴いてみたいと思う。
マーラーに先立って演奏されたR.シュトラウスのオーボエ協奏曲(オーボエ:広田智之)も、ナチスドイツの終戦直後に作曲されたとは思えないような明るく伸びやかな曲調で、暖かく華やかな気分にさせられた。
マタイ受難曲(BCJ)
東京オペラシティでバッハ・コレギウム・ジャパンのマタイ受難曲を聴いた。初めてマタイ受難曲に触れた記憶はタルコフスキーの映画「サクリファイス」で流れた第39曲で、もう35年も前のことになるが鮮明に憶えている。その後、結婚した頃に購入したサイトウ・キネン・オーケストラのCDを妻が折に触れてかけるのを聴くことはあっても、正面から向き合って聴く機会は久しくないままに時が過ぎ、今回、初めてコンサートで聴く機会を得た。特に主なソリストの歌唱が素晴らしく、音楽そのものを楽しんで聴き始めたのだが、如何せん知識が乏しいため、第1部の途中からパンフレットで歌詞を追いながら聴くこととなり、そのためかこの曲の宗教音楽としての成り立ちに意識が向けられ、第65曲のアリアが深く印象に刻まれることになった。これからもこの曲に触れる機会は多くあるだろうと思うけれど、今回、コンサートでこの曲を聴く機会を持てて良かったと思う。