2022年5月は30キロ+35キロ

2022年5月の月間走行距離は30キロ、伊豆山稜線歩道で20キロ、奥多摩で15キロの「スピードハイク」を楽しんだことを言い訳にしても、大幅なペースダウンになってしまった。奥多摩の下り坂で足首を捻挫してしまい(翌日はかなり腫れて痛みも強かった。)、その後全く走れていないことが原因で、改めて怪我や故障を避けることの大切さを思い知らされている。そろそろ5キロ程度は走れそうな状況まで回復してきたので、来月から挽回していきたいと思う。

奥多摩

朝8時前に青梅線古里駅を出発して、大塚山、御嶽神社、日の出山、三室山、愛宕神社と歩き、温泉に入り、吉川英治記念館を見学して、14時半過ぎの電車で二俣尾駅から東京に戻った。好天に恵まれ、気持ちの良い一日だった。前回の伊豆山稜線歩道にはSONYのRX100Ⅲを持参したのだが、今回はFUJIFILMのX-T4にXF16㎜ f1.4を付けて持って行った。「規則性と規則性の破れ」を探して、植林された東斜面と自然林の西斜面を分ける尾根道や、異なる規則性を横切る道路など、いくつか写真を撮ってみたのだが、巧拙は措くとして、自分は規則性の微妙なズレよりも、分かり易い「破れ」に惹かれる傾向があるようだ。次回はXF10-24mm f4を付けて出かけてみようかと思っていたが、下山時に足首を捻挫してしまい、梅雨が明ける頃までお預けになりそうだ。

柴田敏雄と鈴木理策(アーティゾン美術館)

アーティゾン美術館で「写真と絵画-セザンヌより 柴田敏雄と鈴木理策」を観た。柴田敏雄のセクションでは、不揃いな規則性と規則性の破れに目が留まった。厳密に正確ではない繰り返しのパターンと、そのパターンが終わるところ、そのバランスにリズムや美しさを感じたのかもしれない。考えてみると、世の中には不揃いな規則性と規則性の破れが至るところにあって、気を付けて見ればそこにリズムや美しさが見つけられそうな、そんな気がした。鈴木理策のセクションでは、カメラの視覚とヒトの視覚の違いを感じたことで、ヒトの視覚が相対化され、自分の視覚への信頼を問い直す機会になった。最後の雪舟の四季山水図とのセクションでは、雪舟と柴田敏雄のある種の厳格さの相似性が印象的だった。柴田敏雄の写真は、ここ数年のフラットで乾いた印象を受けたプリントよりも、それ以前の滑らかに潤ったプリントにとても魅力を感じた。

焼肉ドラゴン(映画)

今年初めにNHKのプレミアムシアターで焼肉ドラゴンの芝居を観て心を動かされたので、中古のDVDを入手して映画を観てみた。映画の監督は、原作者で芝居の共同演出も手掛けた鄭義信で、芝居と映画の違いを感じてみたいという気持ちもあったのだが、改めて二つのメディアの違いを感じさせられたような気がする。例えば、余白の広さというか、芝居は様々な制約から観客の想像力を働かせるスペースが広いのに対して、映画は情報量が多く、想像力よりも理解力が働きやすいように思える。それから役者の出力も、芝居では会場の観客に働きかけるパワー、動きと声が求められるのに対して、映画では、リアリティを求めるのであれば、寄った映像も多いので抑えた演技が求められるだろう。映画のキャスティングは豪華で、特に父親役のキム・サンホと母親役のイ・ジョンウン(パラサイトで家政婦役を怪演した)は独特の存在感があったと思うが、個人的には、この作品では芝居に軍配を上げたいと思った。

伊豆山稜線歩道

仁科峠展望台

伊豆トレイルジャーニーを特集したNHKの番組を観て、あの場所に行ってみようと思い立ち、初めてのトレイルランニングシューズを新調して、GW中の好天に恵まれた日を選んで伊豆山稜線歩道に出かけてきた。とはいえ山道を走る体力もスキルもないので、無理のない範囲でのスピードハイク、どこまで行けるかは身体と相談しながら決めようと朝8時30分に天城峠バス停をスタートしたのだが、15時過ぎに舩原峠に辿り着いたときにはその先に進む時間も体力もなくなっていた。24.6キロを6.5時間、昼食や休憩の時間を除いて考えると、おおむね同じ距離を近所で走った場合にかかる時間の2倍かかった計算になるだろうか。Power Weight Ratioに劣る中年男性には、上りも下りも足へのダメージが大きかった。次女が同行していなかったら、もっと時間がかかっていただろう。疲労度は大きかったが、道々で富士山や西伊豆の海を見晴らせる景色は素晴らしく、また二本杉峠から猫越峠にかけての新緑が美しいブナの大木や、太陽と風雨に晒されて白くなった魂の山の倒木、姿は見えないけれど声が聞こえてくる鶯やモリアオガエルなど、多くの生き物たちの存在に触れることができて、良い一日だった。帰りはドライブを楽しんできた長女に舩原峠でピックアップしてもらい、温泉と軽い夕食を楽しんでから帰宅した。