無言館

信州上田の無言館(戦没画学生慰霊美術館)を訪れた。以前から訪れてみたいと思っていた美術館で、一昨年に次女が自転車旅行の途中で訪れていたり、昨年の夏にはテレビ東京の「新美の巨人たち」で内田有紀が紹介していたりして、早めに行きたいと思っていたところ、八ヶ岳高原音楽堂や扉温泉に出掛けることとなり、訪問の機会を得た。この美術館や展示された作品から受け取るものは、日本の戦争の歴史や家族を残しての出征や戦死といった個人の歴史と分かち難く結びついていて、特に妻や妹や祖母といった身近な人を描いた作品はそうした背景との結びつきが強いのだけれど、例えば、何の変哲もない月夜の田園風景を描いた椎野修の「月夜の田園」の前に立つと、時代背景をいったん忘れて、その絵の魅力に強く惹き付けられる。この美術館には、そうした魅力を持つ作品が多い。殆どの作家は画学生やアマチュアで、描きたいという気持ちから作品を描いた。それは身近な人を描いた作品についても同じことで、作家を創作に駆り立てた情熱に創作から80年を経た今も心を動かされるのだろう。そして、その情熱の出どころを考えるときに、思いは再び時代背景へと戻っていく。そんな円環をぐるぐると回りながら、多くの作品を対話することになった。この美術館は、また数年後に再訪することになるだろうと思う。いつまでも続いてほしい美術館である。

樫本大進&アレッシオ・バックス

八ヶ岳高原音楽堂で樫本大進&アレッシオ・バックス デュオ・リサイタルを聴いた。モーツァルトのヴァイオリン・ソナタ(KV380)、グリーグのヴァイオリン・ソナタ第3番、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番クロイツェルというプログラムで、アンコールにラフマニノフのヴォカリーズが演奏された。後半に進むにつれて徐々に温まってくるような流れで、グリーグの民族的な響きも魅力的だったが、やはりクロイツェルは耳に馴染んでいることもありヴァイオリン・ソナタの魅力を堪能することができた。アレッシオ・バックスのピアノは、どちらかというと樫本大進のヴァイオリンを立てる演奏に聴こえて、樫本大進が他のピアニストと共演したらどんな演奏になるだろうか、例えば上原彩子とのクロイツェルなんてどうだろう、そんなことを想像してみるのも楽しかった。終演後、ほぼ20年前にお会いしてからいろいろと仕事でお世話になったお二人と、そのうちお一人の奥さん、そして我々夫婦の5人で八ヶ岳高原ロッジでの夕食をご一緒したのだが、皆さまクラシック音楽がお好きでお詳しく、長年にわたり音楽を楽しんでこられたきた厚みに触れられたことや、仕事を離れてプライベートな時間をご一緒できたことが嬉しかった。次回は別府アルゲリッチ音楽祭へ、といった話も飛び出して、そんな機会が持てたら幸せなことだなぁと思ったりしている。

信州旅行

仕事でお世話になった方と八ヶ岳高原音楽堂でのコンサートとロッジでの夕食を楽しみ、翌日は夫婦で松本を観光をしてから扉温泉に宿泊し、3日目は上田の無言館を訪れてから帰京するという充実した2泊3日の旅行を楽しんだ。コンサートと無言館については別の投稿に書こうと思うので、ここではこれ以外の旅の思い出を記しておきたい。ひとつめは扉温泉でいただいた長野ワイン。フレンチとのペアリングで泡、ロゼ、ピノグリ、シャルドネ、カベルネフラン、メルローを頂いたのだが、どのワインもそれぞれに美しい個性があって素晴らしかった。特にカベルネフランの瑞々しくチャーミングンな魅力や、ロゼの素直で膨らみのある味わいは思い出深い。昨年訪れた余市で味わったワインたちも素晴らしかったけれど、ここは長野に軍配が上がるかと思えてくる顔ぶれだった。ふたつめは、最終日に立ち寄った雷電生家。飯嶋和一ファンとしては、やはりここは外せない場所で、訪れることができて嬉しかった。みっつめは車。今回は購入を検討している車をディーラーから3日間もお借りしてしまったのだが、一緒に楽しく過ごせたので、この車を購入することにした。9月か10月頃に納車になる予定で、日々の暮らしや旅行などの時間を一緒に過ごせることを楽しみにしている。

八ヶ岳高原ロッジから散歩に出て
雷電生家にて

2025年5月は22.7キロ+Walk

2025年5月の月間走行距離は22.7キロだった。ゆっくり走っていたのに、アップダウンが多い道を走ったせいか右足にジャンパー膝の症状が出て、月の後半はお休みになってしまった。そろそろ治ってきたようなので、ゆっくり走り始めたい。

2025年5月はこのブログを始めてから初めて走行距離以外のブログの投稿がない月となり、振り返ってみても(GWがあったのに)活動が低調だった。コンサートや美術館に足を運んでおらず、東京芸術劇場がリニューアル中ということもあって芝居からも遠ざかっており、映画や読書もあまり進んでいない。唯一活動的だったのは、23年近く乗り続けている我が家の車の買い替えに向けて動いたことくらいだろうか。車も、日本の基幹産業であり、日本を代表する文化のひとつだと思うので、おそらくこれから長く乗ることになる車選びは楽しみつつも慎重に進めたいと思って、いろいろと情報収集や検討に時間を使ってしまった。とはいえ、数車種を試乗をしてみたところ、細い路地に面した我が家の車庫にストレスなく入れられる車のサイズは限られてしまうことが判明し、結局あまり選択肢はなかったのだけれど。おそらく秋頃には、今まで乗ってきた車を(両親が免許を返上して車を売却した)実家で使うことにして、新しい車が我が家にやって来ることになりそうで、楽しみにしている。