2024年2月の月間走行距離は10キロだった。左腿裏ハムストリングの痛みは、おそらく12月に在宅勤務を続けて座りっぱなしだったことが災いして筋肉が固まってしまったせいだろうと推測し、ストレッチを心掛けたのだが、なかなか痛みが去らず、結局、月末になって5キロを2回走っただけで今月も終わってしまった。ランニング以外の運動は、写真散歩で4時間ほど歩いた日があったくらいだろうか。来月末のハーフマラソンにエントリーしているのだが、DNSかなぁ。
月の岬
東京芸術劇場シアターウエストで unrato#11「月の岬」(演出:大河内直子)を観た。公式サイトを眺めた程度で何の予備知識もないままに、何となく良い芝居になりそうという勘を頼りにチケットを買って一人で出かけてきたのだが、じわっと来る芝居だった。自らが招いた不幸な事故から父親を早くに亡くした姉と弟が、おそらく不幸に耐えながら懸命に守ってきた家庭があって、その家庭が弟の結婚を機に変容していく。その様子がひと月程度の時間軸の中で描かれるのだが、説明的な台詞は少なく、登場人物は皆それぞれの人生を生きていて、またそれぞれに異なる接点で交わっているので、ある人物にとって他の人物は余白が多く、その余白の多さの集積が観客に提示されつつも、その余白にはある種のまとまりというか、トーン、雰囲気がある。家族、人間関係、その歴史、家(家族の一員のような家!)、着物、島、そのほか様々なものに互いを呼び寄せ合う重力のようなものがあって、それが温かくもあり、また苦くもあるのだろうと思う。2時間の芝居があっという間で、終演後ももう少しあの世界に止まっていたい名残惜しさが残った。戯曲デジタルアーカイブに戯曲があったので、しばらくしてから読んでみたいと思う。
東大前・後楽園・本郷三丁目
良く晴れた連休の中日に東大前・後楽園・本郷三丁目の散歩を楽しんだ。今回はX-T5にXF33mmを付けて出かけたのだが、自分には50mm相当の画角は街歩きの散歩にはやや画角が狭く感じてしまう。42㎜相当の画角では狭さを感じることは少ないので、微妙な違いなのだけれど、今回の散歩の写真はすべてほぼノートリミングで掲載することになったので、やはり50mm相当の画角は画面を切り取る感覚なのだろう。Fujifilmから35mm相当の画角のレンズを付けたX100VIの発売が発表されて、お散歩に丁度良さそうで気になっているのだけれど(SDカードが2枚入ると嬉しいのですが。。)、X-Pro4の発売を待って比べてみたい気もするけれど、そうしているうちに品薄で買えなくなりそうで、悩ましい。

マクベス
東京芸術劇場シアターイーストで、はえぎわ×彩の国さいたま芸術劇場 ワークショップから生まれた演劇「マクベス」(演出:ノゾエ征爾)を観た。「響きと怒り(The sound and the fury)」の題名がマクベスの台詞に由来することを知って「マクベス」(福田恒存訳、新潮文庫)を読み、その流れで公演中だったこの芝居と出会うことができた。戯曲を読んだ印象と芝居を観ての印象はやはり異なり、今回の芝居からは「無常感」、日本人の感覚とは一味違うけれどもやはり無常感という言葉が似あいそうな感覚が心に残った。テキストに固定された戯曲と、一回限りで過ぎ去っていく芝居の違いもあるのだろうか。それから、魔女の存在感がよりクローズアップされていたと思う。芝居の冒頭から魔女の声に魅せられ、その身体の動きにも視線を奪われた。特に気になった魔女俳優は茂手木桜子で、この俳優の出演作品をまた観てみたいと思った。三池崇監督の「十三人の刺客」に出ているようなので、近いうちに観てみようと思う。椅子を使ったシンプルな舞台美術も、様々な組み合わせが視覚的に楽しく、床を打ち鳴らす音も迫力があり、ストイックになり過ぎない周囲の小物たちの存在と相俟って舞台を大いに惹き立てていたと思う。
東フィル第996回定期公演
サントリーホールでチョン・ミュンフンが指揮する東フィルの第996回定期公演を聴いた。「田園」を聴くのは久しぶりだったのだが、和かい光が薫立つようなどちらかというと水彩画を思わせる美しさを湛えた音楽に聴こえた。「春の祭典」も、2018年12月にアラン・ギルバートが指揮した都響の演奏を聴いて以来だが、あの時の春祭は無機的というか分子レベルで音がぶつかり合って拡散するような鮮烈な印象を受けた記憶がある。今回の東フィルの演奏はもっと有機的で生命レベルでの響き合いを感じさせる音楽に思えた。一番多く聴いているオケだからだろうか、東フィルの音楽には温かさを感じる。終演後、楽員の方々が退場した後にマエストロが再び舞台に現れるのを待ち続ける聴衆も多く、舞台袖から出て来られたマエストロに大きな拍手とブラヴォーが響いていた。と、ここまでは珍しくはないのだが、今回は半分くらいの楽員の方々が、多くの方は楽器も持たずに再び舞台に登場し、聴衆と共にマエストロに拍手を贈っていた。オケの温かさを感じた印象深い場面だった。