ねじまき鳥クロニクル(舞台)

東京芸術劇場プレイハウスでInbal PintoとAmir Kligerのイスラエル人のふたりが演出した「ねじまき鳥クロニクル」を観た。原作を精密に解体して、暴力、セックス、死、異界、歴史といった諸々の要素や、井戸、壁、電話、バット、ライターといった様々な道具を取り出して、台詞とダンス、歌と音楽、美術と照明を複雑に組み合わせて響かせながら3時間弱の舞台に再構築した力作だったと思う。言葉を超えたものを身体で描こうとする表現の持つ魅力や、役者や照明と呼吸を合わせて奏でられる音楽の贅沢さ、そして役者の魅力(間宮の長台詞の力演!)のそれぞれが印象深かった。初演は観ていないのだが、繰り返し再演されることで深まっていく芝居のように思えた。原作は、書棚の単行本はいずれも初版第一刷で、発売直後の第3部を夏休みのモンゴル旅行に持って行って読んだ記憶があるのだが、英語のAudio Bookを入手していないこともあって、長いこと疎遠になっていた。舞台を観る前に再読できたのは第1部の最初だけだったのだが、それでも、以前とは違う新しい読書になる実感があった。若かった頃には分からなかったことが分かることもある。でもそれだけではなくて、若かった頃には感じられたことが感じられなくなってもいるのだろう。結局、手に持ったライターの小さな灯が広大な暗闇を僅かに照らし出す位置が多少変わっただけで、ライターの火が松明のようになることはないのかもしれない。それに、仮に篝火のように燃えたところで、自分の眼に見える範囲など高が知れたものなのだ。

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

文京シビックホールでファビオ・ルイージが指揮するロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏を聴いた。1曲目はビゼーの交響曲第1番で、少人数のオケがお互いの奏でたい音楽を分かり合いながら演奏しているような、演奏者と演奏者を繋ぐ見えない幾重ものラインがステージ上の演奏者だけでなく歴史を遡ったコンセルトヘボウの昔の演奏者たちとも複雑に繋がり合って稠密な綾が編み上げられているような、そんな纏まりと厚みのある温かな音に感じられた。編成が大きくなった2曲目のドヴォルザークの新世界は、最初の低弦の数音で王道の迫力が伝わる演奏で、1曲目よりもオケの重心が3センチくらい上がったような勢いと力強さを感じた。数か月前にファビオ・ルイージが指揮するN響の新世界をテレビで観た際に、その軽みを感じさせる繊細な演奏に心を打たれて、今日の演奏も楽しみにしていたのだが、聴き終えて振り返ると、ファビオ・ルイージの新世界でありつつも、コンセルトヘボウの新世界を堪能したような印象がある。アンコールのエフゲニー・オネーギンのポロネーズも、ツアーの最後を締めくくる華やかな演奏で素敵だった。地元のホールにコンセルトヘボウがやって来て素晴らしい演奏をしてくれたことが素直に心から嬉しく、思い出深いコンサートになった。それにしても、オーボエ!!、そしてフルートも、クラリネットも、イングリッシュ・ホルンも、特に木管はそれぞれに音楽を慈しみつつ楽しむ魅力に溢れていて絶品だった!

霞ヶ浦

先日、今日で生まれてから20000日を迎えることを知った。20000日といっても何時もと変わらない一日なのだが、三連休ということもあり、19999日目に香取神宮と伊能忠敬記念館を訪ね、霞ヶ浦を眺めならが10キロばかり走り、土浦花火大会を1時間ほど遠くから楽しんだ。帰宅すると妻と長女はアイドルのライブ、次女は日光から沼田への自転車旅、三女はバイトで誰もおらず、近所の居酒屋に出掛けて「伊能忠敬が日本地図を作り始めたのも20000日を過ぎてからだから」などと大将と話しながら、美味しい料理と日本酒を頂戴した。

The Grand Circle

10月下旬に気の置けない仲間とGrand Circleの旅を楽しんだ。ラスベガスに入り、レンタカーでグランドキャニオン(Thunderbird Lodge泊)、モニュメントバレー(The View Hotel泊)、ザイオン国立公園(Zion Lodge泊、Angels Landingに行くことができた!)を周遊し、ラスベガスに戻る旅は、出会いと好天に恵まれて、期待を数倍する素敵な時間だった。何処も素晴らしかったが、モニュメントバレーは思い出深い場所になった。

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2023年10月は20キロ+Hike

2023年10月の月間走行距離は20キロだった。月始めには距離を伸ばしたいと思っていたのだが、10月下旬にザイオン国立公園のAngels Landingに出掛けることになり、奥武蔵自然歩道や野反湖でハイキングをしたり、身体を休めたりで走らない月になってしまい、月末に10キロ走っただけで筋肉痛が出る始末だった。11月は距離を伸ばそうと思う。