東京芸術劇場で日本フィルハーモニーの第255回芸劇シリーズを聴いた。坂本龍一トリビュートのプログラムで、ドビュッシーの「夜想曲」、武満徹の「波の盆」を交えながら、坂本龍一の「箏とオーケストラのための協奏曲」、「The Last Emperor」、「地中海のテーマ」が演奏されたのだが、アンコールの「Aqua」が一番聴き応えがあったかもしれない。シンセサイザーや電気楽器をメインとする小編成のバンド向けの作品やピアノ曲から、様々な制約がある多くの楽器を使う大編成のオーケストラ作品まで、あるいは純粋に音楽を楽しむ作品から映画やCMの音楽まで、幅広い分野にまたがる作曲家としての坂本龍一の仕事について思いを巡らせるコンサートだった。客席はほぼ満席だった。
2024年5月は80キロ+Walk
2024年5月の月間走行距離は80キロだった。ペースは上がらず、体重も増加したままだけれど、距離は伸びて来た。足の痛みもないので、来月は100キロまで距離を伸ばせそうな気がする。梅雨に入るし、だんだん暑くなってくるけれど。
東京都交響楽団第999回定期演奏会
東京文化会館で井上道義と都響の最後の演奏となる第999回定期演奏会を聴いた。1曲目のベートーヴェンの交響曲第6番「田園」は、フルオケの約半分の小振りな編成で、練り上げられた精妙なアンサンブルを演奏者の思いや息づかいが感じられほど生き生きと聴かせる室内楽的な演奏だった。第一楽章の自然の描写からその繊細で表情豊かな筆致に惹き込まれ、第三楽章以降はベートーヴェンの音楽を巡って積み重ねられてきたものと共に在る気迫が胸に迫って来て、心を深く動かされた。これからも長く記憶に残る「田園」だった。2曲目のショスタコーヴィチの交響曲第6番は、大編成のフルオケでの演奏で、自分にとっては耳馴染のない曲なのだが、1楽章の心理描写的な音楽と2楽章以降の華やかさが対照的で、後半にはコミカルな響きも感じられ、井上道義が都響との最後の演奏に選んだこの曲を、別れを惜しみつつ楽しむことができた。
N’s YARD
那須にあるエノテカのレンタルセラーまでワインの出し入れに出掛けたついでに、隣にあるN’s YARDを訪れた。那須の自然を取り込んだ広々とした庭に囲まれて、奈良美智の私設現代アートスペースがあり、5部屋の展示室に奈良美智の作品やコレクションを中心とした作品が展示されている。3年前に来た時から入れ替えられた作品も多かったが、再び会えた作品もあって、ゆっくりとした時間を楽しむことができた。晴れた日に恰好良い車で来たら、素敵なデートになりそうな場所である。
日本フィル第143回さいたま定期演奏会
ソニックシティで日本フィルハーモニーの第143回さいたま定期演奏会を聴いた。井上道義が指揮する日本フィルのショスタコーヴィチを聴いてみたいと思い、初めてソニックシティに出掛けたのだが、大宮の土地柄だろうか、都内のコンサートとくらべて聴衆層が細分化されておらず、幅広い人たちが楽しみに来られている印象を受けた。さいたまとの県境にある東京に遅れて来た地方出身者が多い団地で小学生時代を過ごした自分には、何となく懐かしさを感じた。チェロ協奏曲第2番は、生き生きとした佐藤晴真のチェロと比較して、小振りな編成のオーケストラが大人しく感じられたのだが、ほぼ2倍の編成のオケで演奏された交響曲第10番は、聴き応えのある演奏だったと思う。一昨年のN響との交響曲第9番で感じた黒漆の輝きとは微妙に異なる、打ちっぱなしのコンクリートの鏡面のような力強さのある音が、5ミリほど重心が低めのオケから放たれてくるといったところだろうか。開演前に井上道義の簡単なトークがあったり、ステージの左右に飾られた素敵な盆栽の解説があったりと、盛り沢山で楽しいコンサートだった。