VOCA展 2024

上野の森美術館でVOCA展 2024を観た。31回目の開催とのことだが、足を運んだのは5回くらいだろうか。今回はチケットぴあのポイントで招待券を頂戴して出掛けてきたのだが、いずれの作品からも表現に向けられた様々な熱が感じられるようで楽しかった。VOCA賞を得た大東忍の「風景の拍子」もオーラのある作品だったが、自分は、山下耕平の「自室の模様」、大山智子の「SETOUCHI」、小山維子の「二重奏-あらわれることについて・ふれることについて」といった作品にも心惹かれた。20年間ひたすらイカを描いているという「イカ画家」宮内裕賀を知ったことも収穫だった。

余市と小樽

義父母と夫婦で余市と小樽に出掛けてきた。余市では、ホテルLoopでワインと料理を楽しみ、ニッカウヰスキー余市工場を見学し、小樽では、運河や境町通りを散策し、似鳥美術館を訪れ、銀鱗荘の眺望と食事を楽しんだ。初めて北海道を訪れた義母や妻は雪景色を楽しんだようだった。2泊3日の短い旅行だったけれど、思い出深い良い旅になった。

Loopのペアリングで頂いたワインたち。それぞれに個性と魅力を持つワインだった。
余市から小樽への車窓から
銀鱗荘のお部屋から早朝の眺め

ところで、小樽は義父にとっては石原裕次郎の街で、子供たちにとっては山口一郎の街かもしれないけれど、自分にとってはやはり岩井俊二の「Love Letter」の街である。

御茶ノ水、淡路町、神保町

別々の日に御茶ノ水淡路町神保町を散歩して写真を撮ってきた。御茶ノ水と神保町は中学生の頃から馴染のある場所で、高校生の頃は駿台予備校に通ったこともあって親しみがある。スヰートポーヅが閉店し、三省堂の建て替え工事が始まり、岩波ホールが閉館し、このエリアもいろいろと変わってきているけれど、それが街に元気がある証と思って、これからも親しくさせて頂きたいと思っている。

駿河台下交差点(三省堂書店は建替え工事中)

すみだ平和祈念音楽祭2024

トリフォニーホールで井上道義が指揮する新日本フィルのマーラー交響曲第3番を聴いた。マーラーの3番を生オケで聴くのは初めてなのだが、力のこもった作品で、平和祈念という音楽祭のテーマにも沿う曲に感じられた。新日本フィルを聴くのも久しぶりだったのだが、前日のTCPOよりも洗練されたオケという印象を受けた。井上道義の指揮も活力に満ちていて、やはり引退が惜しまれる。5月の日フィルとのショスタコーヴィチや都響との公演を楽しみにしている。

東京シティ・フィル第368回定期演奏会

東京オペラシティでTCPOの第368回定期演奏会を聴いた。シベリウスの「タピオラ」は、オケの音の鮮やかさというか生々しさに強い印象を受けた。墨痕淋漓たる演奏とでも言うのだろうか、撓やかな筋肉が生み出す丁寧に磨かれたフレーズの始まりと終わりそして重なり合いに音の美しさを感じた。マーラーの5番は、2年前に聴いた大野和志と都響の演奏とはある意味で対照的な印象を受けた。煌びやかな料理が次々と展開する都響の演奏と比較すると、TCPOの演奏は、それぞれの具材に丁寧な仕事と下味を付けてまとめ上げた一皿の料理を5楽章かけて味わっていくような、丁寧な鈍さのようなものを感じる。今回の演奏も素晴らしかったのだが、むしろ、今は丁寧な鈍さを磨き上げる下地を鍛え蓄えた段階で、この道筋の先にさらなる高みがあることを指揮者も楽員も(聴衆も)信じてアタックしている熱量が感じられて、数年後のさらに進化したTCPOのマーラー5番を聴いてみたいと思わせられた。これで3年連続でTCPOのシーズン最後の定期演奏会を聴いたことになる。来シーズンは、2022年のサントリー音楽賞受賞コンサートで聴いたマーラー7番を再び聴く機会がありそうで、TCPOの定期演奏会に何度か足を運んでみたいと思っている(プレトークも楽しみにしている。)。会場で購入した2022年3月のマーラー9番のCDも、じっくりと聴いてあの演奏会を思い起こしてみたい。