ロザリン・テューレック

図書館で借りた「会田綱雄詩集」について書いたついでに、その少し前に図書館で借りたロザリン・テューレックの「ゴルドベルク変奏曲」についても書いておこうと思う。阪田智樹がラジオで紹介していた演奏を聴いて心惹かれて、自宅に録音があるか探してみたところ、Great Pianist of the 20th Centuryの94巻に1957年の録音が入っていた。この演奏も素晴らしかったのだが、1998年に84歳のテューレックがグラモフォンで録音した演奏を聴いてみたくてネットで探してみたところ、どこも品切れだったのだけれど、地元の図書館で借りて聴くことができた。1957年の演奏も1998年の演奏もゆったりとしたテンポで、流れゆく景色を身を任せるというよりも、ひとつひとつの音やフレーズから立ち上がるイメージを詩の朗読のように味わう魅力があるように感じられた。ゴルドベルク変奏曲というとグールドの2つの録音の印象が強烈で、他の演奏を聴いてもグールドに戻って来るような気がしていたのだけれど、これからはテューレックの演奏を聴く機会の方が多くなるかもしれない。会田綱雄とロザリン・テューレックには、共に1914年生まれという以上の共通点はなさそうだけれど、個人的には図書館の助けを借りて知ることができたという共通点ができた。ロザリン・テューレックのCDはラジオで紹介されたためか予約が3つ入っていて、ちょっと嬉しかったりもして。宮藤官九郎のドラマの影響か我が家の奥さんを加えて20人以上も予約が入っていた山本周五郎の「季節のない街」には負けたけれど。