東フィル第996回定期公演

サントリーホールでチョン・ミュンフンが指揮する東フィルの第996回定期公演を聴いた。「田園」を聴くのは久しぶりだったのだが、和かい光が薫立つようなどちらかというと水彩画を思わせる美しさを湛えた音楽に聴こえた。「春の祭典」も、2018年12月にアラン・ギルバートが指揮した都響の演奏を聴いて以来だが、あの時の春祭は無機的というか分子レベルで音がぶつかり合って拡散するような鮮烈な印象を受けた記憶がある。今回の東フィルの演奏はもっと有機的で生命レベルでの響き合いを感じさせる音楽に思えた。一番多く聴いているオケだからだろうか、東フィルの音楽には温かさを感じる。終演後、楽員の方々が退場した後にマエストロが再び舞台に現れるのを待ち続ける聴衆も多く、舞台袖から出て来られたマエストロに大きな拍手とブラヴォーが響いていた。と、ここまでは珍しくはないのだが、今回は半分くらいの楽員の方々が、多くの方は楽器も持たずに再び舞台に登場し、聴衆と共にマエストロに拍手を贈っていた。オケの温かさを感じた印象深い場面だった。