くらしのアナキズム

松村圭一郎著「くらしのアナキズム」(ミシマ社)を読んだ。2、3年前に鶴見俊輔の「方法としてのアナキズム」を読んでから「アナキズム」という言葉が心に留まっていることもあり、朝日新聞の書評で知ったこの本を書店で購入してあったのだが、読んでみると、鶴見俊輔だけでなく、ここ数か月の間に読んだ「反穀物の人類史」や「無縁・公界・楽」、これから読もうとしている「負債論」、この他にも自分が興味を持って読んできた本が取り上げられていて、自分の関心と、東京大学の入試問題に採用される文章を書く碩学の関心が重なり合うようにも感じられ、勇気づけられた。権力に委ねず、また搦め捕られずに、自分たちの問題を自分たちの問題として考え、解決していく能力や仕組みをどうやって手に入れるか、「アナキズム」の本質はそんな問いかけの中にあるような気がする。