12万円で世界を歩く リターンズ

下川裕治著「12万円で世界を歩く リターンズ」(朝日文庫)を読んだ。1988年の貧乏旅行のルートを30年後の2018年に再訪した旅行記で、1990年に出版された「12万円で世界を歩く」は、文庫化された頃、自分が1997年6月から1年間のアジア旅行に出かける前に読んだ記憶がある。長旅に向かう熱病を昂じさせた本といえば、中学生の頃に読んだ犬養道子著「アメリカン・アメリカ」(文藝春秋)所収の「P、K、Rその他」というエッセイがあり、大学に入ってから読んだ「深夜特急」があり、その他にも多くの本や映画、旅の経験もあった。そうして出かけた1年間の旅で、自分が何を頂いて、これから何を返せるのか、自宅のソファーに寝転んでそんなことを想いながらこの本を読んだ。それにしても、思い返してみると、随分と遠ざかってしまったような気もするけれど、あの1年間は美しかった。