東京芸術劇場でイザベル・ユペールのひとり芝居を観た流れで、久しぶりにマイケル・チミノ監督「天国の門」を観た。大学生の頃に名画座で観て打ちのめされた記憶があって、自宅の本棚にはどうやら20年以上前に購入したらしいDVDがあるのだけれど、219分の長さやブラウン管サイズでレターボックス化された映像の小ささが災いしてか、おそらく10年以上は観ていなかった。そんな具合なので、前回観た時に何を感じたり思ったりしたのかはまったく憶えていないのだけれど、今回は、ハーバード大学の卒業生たちが女性たちと数十組のペアを組んで中庭を円舞するシーン、エラがプレゼントされた馬車にジムを乗せてSweetwaterの街の中心部をグルグルと疾走するシーン、移民たちがロマ風の音楽に乗ってローラースケート場を周回するダンスシーン、その移民たちが銃を手に取り牧畜協会の傭兵たちを包囲して馬車や馬で旋回する戦闘シーン、そして牧畜協会の救援に早馬を駆けて現れた州の軍隊が移民と傭兵の間に介入して巡回するシーンなど、人や馬が輪を描いて回る様子を撮影したシーンが印象的だった。全編を通じて、映像の美しさ、役者とキャラクターの存在感、ストーリーの語り口といったどの点を取り上げても味わい深く、219分がとても短く感じられた。やはり、この映画は映画館で観たい!どこかで上映してくれないだろうか、と思ってネットを見ても上映館があるはずもなく、思わず中古のBlue-rayを購入して(相場は1.5万円から4万円のようだけれど、幸い1万円以下で購入できた。)、映画館には及ばないけれど、大きくなったデジタルリマスター版の映像を80インチのスクリーンにプロジェクタで投影して、再度じっくりと楽しんでしまった。