彼女たちのアボリジナル・アート

アーティゾン美術館で「彼女たちのアボリジナル・アート」を観た。地域は異なるけれどもカリブ海諸国の地域性、植民地支配、人種、女性といった問題に光を当てる中村達の本を読んでいることもあって、この展覧会にも足を運んでみようと思って出掛けたのだけれど、そういった文脈はいったん忘れた上で、それぞれの作品が持つ魅力を楽しむ時間を過ごすことができた。特に90年代前半のイングワリィの作品が持つ点描の美しさと奥深さ、そしてサリー・ガボリの作品の天衣無縫な迸るパワーに魅了された。それから、今回の展覧会に限らないことだけれど、アーティゾン美術館は美術を愉しむ空間としての魅力も秀でている印象がある。とはいえ2年ぶりの訪問になってしまったので、もう少し頻繁に訪れてみたいと思う。

エミリー・カーマ・イングワリィ「アルハルクラ(II)」(1992年)