上原彩子が演奏するラヴェルのピアノ協奏曲が聴きたくて、ミューザ川崎シンフォニーホールに出掛けてユベール・スダーンが指揮する東京交響楽団の「名曲全集第209回」を聴いた。ラヴェルのピアノ協奏曲は、クラシックを聴き始めた頃に良く聴いていた曲で、当時はフランソワの録音を好んで聴いていた。最近、再びフランソワ、ミケランジェリ、アルゲリッチ(新旧)、ツィメルマン、ラローチャ、チョ・ソンジンといった録音を聴き比べてみたりして、やはりピアニストの個性が出る作品だなぁと感じていたこともあり、上原彩子の演奏を是非聞いてみたいと思った。上原彩子の演奏は、しなやかな気迫を感じさせつつ、凛々しく抒情的で、いいなぁと思うのだけれど、オーケストラにとっては扱いが難しい曲なのだろうか、規模を2/3程度に小さくした編成は室内楽的な阿吽の呼吸を期待させたのだけれど、第二楽章の木管(特にフルート)との掛け合いは美しかったものの、両端楽章は息の合った名演とまでは感じられなかった。もう15年前になるけれど、トリフォニーホールでアルゲリッチと新日本フィルの演奏を聴いたときも、期待したほどの感動はなかった記憶があって、やはり名演というのは役者が揃ったりお金を払えば出会えるといったものではなく、偶々出会えた時に感謝するものなのかもしれないなぁ、と思ったりもした。とはいえ、今年はラヴェル生誕150年のメモリアル・イヤーで、ピアノ協奏曲が演奏される機会も多い。高関健が指揮する東京シティフィルと務川慧悟のコンサートのチケットは出遅れて完売で買えなかったけれど、セミヨン・ビシュコフが指揮するチェコフィルとチョ・ソンジンのコンサートのチケットは入手済み。チョ・ソンジンは今年2月に発売された録音も素晴らしかったので、10月のコンサートは名演になるのではないか?と今から楽しみにしている。