東京シティフィル第378回定期演奏会

東京オペラシティで高関健が指揮するTCPOの第378回定期演奏会を聴いた。TCPO50周年記念イヤー最初の定期演奏会を、引き続き定期会員として聴くことができて、嬉しく思っている。1曲目はショスタコーヴィチのバレエ組曲「ボルト」から5曲、「ショスタコーヴィチが屈託なく作曲できていた黄金時代の終わり頃に書かれた、とてもふざけている音楽」とプレトークで高関健が評していたように、軽妙で生き生きとしたショスタコーヴィチが、春祭と同じ規模の大編成で演奏され、まずは肩慣らしといったところだろうか。2曲目と3曲は同じくデビュー50周年を迎えた大谷康子をソリストに迎えたメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲とサラサーテのツィゴイネルワイゼンで、TCOPのコンマスを13年間務めデビュー50周年を迎えた大谷康子と、大谷康子と同学年の高関健、そしていつもの規模の編成のTCPOが一緒になって50周年を祝う幸せな音楽の時間を味わうことができた。休憩を挟んで4曲目はストラヴィンスキーの「春の祭典」で、約100名の大編成のオーケストラが奏でる春祭は圧巻だった。何と言うか、個々の演奏者が発する磨かれた音が、それ自体で独立して存在しつつ、他の演奏者が耳を澄ませてその音を聴きながら、自らも独立して磨かれた音を発する、それぞれの音が互いに独立して発せられているようでありながら、稠密な「聴く・感じる」行為の網目で結びつけられていて、全体がひとつの音楽として形作られていくような、100人のオーケストラがそうした集中力と一体感をもって鳴り響く迫力のある演奏だった。今シーズンのTCPOをますます楽しみにしている。