響きの森クラッシック・シリーズVol.81

文京シビックホールで小林研一郎が指揮する東フィルの「響きの森クラシック・シリーズ Vol.81」を聴いた。1曲目の神尾真由子をソリストに迎えたベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は、ソリストの芯の通ったしなやかな音色と技巧を追いかけつつも、残念ながら睡眠不足等で体調が芳しくなく、集中しきれなかったのだけれど、2曲目のベルリオーズの幻想交響曲からは復活し、第1楽章からコバケンの指揮に応えて全身を鳴らしきるオーケストラの響きを堪能させてもらった。それにしても、84歳にしてあの複雑怪異な幻想交響曲を諳んじて全力で創り上げていくコバケンの姿には頭が下がる。今年7月に朝日新聞で連載された「人生の贈りもの」を拝読させてもらったが、「井上道義君は今年で引退だと言っているそうですね。3か月もすればまた戻りたいと言うでしょう。僕も還暦の頃に本気でやめようと思ったけれど、無理でした。お願いされたコンサートは、引き受けたくなってしまう性格のせいかもしれません。」と書かれていたコバケンには、これからもお体を大事にされつつ素晴らしい音楽を届けて頂きたいと願っている。(井上道義にも続けてもらえると嬉しいのだけれど。)次回のTCPOの定期演奏会でコバケンが指揮するチャイコフスキーがどんな体験になるのか、楽しみにしている。