高橋龍太郎コレクション

東京都現代美術館で「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」を観た。国立西洋美術館で坂本夏子&梅津庸一の「絵作り」を観たときに、遅ればせながら高橋龍太郎コレクションの存在を知り、この展覧会を楽しみにしていた。東京都現代美術館の公式サイトにアップされているインタビューで、高橋龍太郎が「作品の同伴者として、いろんな領域で自分の想像を超えた作品を収集してきた」、「人間の力業の凄みに惹かれて、優れた才能ある作家の作品を集めて来たけれど、東日本大震災以降、それだけを追いかけてリアリティがあるかな、という気持ちが芽生えて、自分を消していくことで何か新しい表現を生み出している人たちの作品にリアリティを感じるようになった」、「主義主張や大きな物語がなくなった時代に表現と向き合う若い世代の辛さ、切なさに勇気づけられる」、「今、日本に生きていて、この時代に生きているリアリティを作品から感じたい」、「僕から生まれたコレクションが、僕から離れた実体のある怪物になっていて、今となっては僕を引きずっている」といった話をしていて、改めて展示を振り返ってみると、こういった言葉に説得力が感じられる。様々な方向に向けてパワフルであったり、切なかったり、静かだったり、温かかったり、ひとりの人間が数十年をかけて時代と共に育てたコレクションの多面性が印象深い展覧会だったと思う。