Last Days 坂本龍一 最期の日々

NHKスペシャル「Last Days 坂本龍一 最期の日々」を観た。録画した番組を3回も繰り返して観たのは、人の死に思いを馳せる貴重な機会だったこともあるけれど、この番組から広がって舞い戻る行ったり来たりの動きを繰り返したこともある。坂本龍一の病室のテーブルに重ねられていた本の一冊がタルコフスキーの「映像のポエジア」だったので、本棚から取りだして「序章」や「音楽と騒音」などところどころを読み返し、タルコフスキーの映画を3本を観た。「ほくはあと何回、満月を見るだろう」の中でタルコフスキーの映画音楽を意識したと書かれていた「async」を何度か聴いて、どの映画だろうと思いを巡らせたり、「12」を聴いて同じことを考えたりもした。この本に登場する谷中の古本屋に出掛けた折に購入してあった鶴見俊輔の「埴谷雄高」を読み、埴谷雄高の文章もいくつか読み、埴谷雄高について坂本龍一を含むいろいろな人にインタビューをした本を読んだりもした。そんなことをしながら、また番組を観たりしていたので、3回も観ることになった。久しぶりに手に取った「映像のポエジア(Sculpting in Time)」に改めて興味を覚えたので再読してみたいし、残りのタルコフスキーの映画も観たい(「ローラーとヴァイオリン」のDVDが発売されていたことを知って、買ってしまった。)。「映像のポエジア」と一緒に重ねられていた本も読んでみたいし、坂本龍一の本棚にあったグレーバーの「負債論」も積読になってしまっている。そんなこんなで、これからも時間をかけて坂本龍一を思い出しながらの行ったり来たりを繰り返すことになるような気がする。結局のところ、自分にとって坂本龍一はまだ死んでいないのだろうと思う。