上原彩子&神尾真由子 デュオ・リサイタル

ヤマハホールで上原彩子&神尾真由子 デュオ・リサイタルを聴いた。チャイコフスキーの「なつかしい土地の想い出」と「ワルツ・スケルツォ」、休憩後にプロコフィエフの「ピアノ・ソナタ第7番」と「ヴァイオリン・ソナタ第1番」、アンコールに「ツィゴイネルワイゼン」というプログラムだったのだが、自分にとって一番の聴きどころは上原彩子のピアノ・ソナタだった。力みのない身体から弾き出される多彩なタッチと重なり合う音色、そして心に響くリズム感。楽譜が読み込めるわけでもなく、良く分からないのだけれども、精緻に作り込まれた曲であることは感じられ、時間をかけて緻密に練り上げられた演奏であることも感じられ、兎に角凄いものであることは疑いない、そんな素晴らしい時間を頂けたことに感謝している。神尾真由子のヴァイオリンはパワフルで、上原彩子のピアノがnon dosageのシャンパーニュだとすると、樽の効いたたっぷりしたシャルドネ、あるいはマルベックといった感じで、相性が良いのか分からないのだけれど、自分の無責任な感想としては、アンコールのツィゴイネルワイゼンが一番しっくりしていたような気がする。上原彩子が来年3月に演奏するベートーヴェンのピアノ・ソナタや、来年1月に日フィルと演奏するラヴェルのピアノ協奏曲も聴いてみたいし、神尾真由子はオケとのヴァイオリンコンチェルトを聴いてみたい気がしている。