新国立劇場(小劇場)で「焼肉ドラゴン」(作・演出:鄭義信)を観た。3年半前に2008年の初演の映像をNHKのプレミアムシアターで観て心を動かされ、その後映画を観て、今回幸せなことに劇場で芝居を観ることができた。この作品は、やはりなかなか出会うことができない特別な作品なのだと思う。この作品を演じるコ・スヒや千葉哲也を観られるのはこれが最後かもしれないと思いつつ劇場に足を運んだのだけれど、パンフレットを見ると「2025年の今回が『焼肉ドラゴン』のファイナル公演となります」と書かれている。そんなことは言わないでもらいたい、という気持ちもありつつ、日本語と韓国語が交じり合うこの作品を上演するのは容易なことではないのだろう。最後の機会に間に合って良かったという気持ちと、もう観られないのだろうかという惜別の気持ちが綯交ぜになっている。同じ時間帯に新国立劇場のオペラパレスで「ラ・ボエーム」を観ていた妻には早速帰り道で薦めて、帰宅後すぐにチケットを1枚購入し、子供たちにも薦めてさらに別々の公演のチケットを2枚購入し、年末の中劇場での3日間の公演の最終日のチケットも購入した。この機会を逃さずにこの芝居を味わいたいと思っている。