ルイジ・ギッリ 終わらない風景、他

東京都写真美術館で「ルイジ・ギッリ 終わらない風景」、「PEDRO COATA INNER VISIONS」、「トランスフィジカル」の3つの展示を観た。ルイジ・ギッリの写真は、被写体や構図以上に、まず彩度を抑えたややドライな色彩に目が行き、撮影者の遊び心ある好奇心のようなものも感じたのだが、展示を観終える頃には写真の余白に味わいを感じているのではないかと思えてきた。考えてみると、見えているものを記録する写真に作為のない印象的な余白を生み出すことは、簡単なようで難しそうだ。ちょっと自分でも試してみたいと思ったりした。ヴィム・ヴェンダースが机の傍らにルイジ・ギッリの写真を飾っていたらしいので、ポスト・カードを買って帰ろうかと思っていたのだけれど、会期末間際になってしまったこともあり完売していた。同時に開催中の「PEDRO COATA INNER VISIONS」は、会場自体を作品として仕上げる企画で、ペドロ・コスタの作品も印象的だったのだけれど、ジェイコブ・リースの写真からリアルな風景の持つ力のようなものを感じた。「トランスフィジカル」は、最後に訪れた3つ目の展示ということもあって、やや盛り沢山に感じられたのだけれど、ここでもやはり演出された作品よりも、例えばBon Danceを撮影した岩根愛の作品のようにリアルな風景の持つ力を引き出した写真に惹かれた。