東京シティ・フィル第381回定期演奏会

東京オペラシティで高関健が指揮するTCPOの第381回定期演奏会で、演奏会形式によるヴェルディのオペラ「ドン・カルロ」(第2幕第2場の大フィナーレを除くイタリア語4幕版)を聴いた。高関・TCPOのオケや合唱も聴き応えがあったのだが(尻上がりに盛り上がっていったような気がする)、やはりオペラはソリストに華があり、どのソリストも素晴らしかったのだけれど、特に小原啓楼のドン・カルロと加藤のぞみのエポリ公女は、ソリストの個性が登場人物のキャラクターをより鮮やかに描き出していたように思えて、加藤のぞみの第3幕第1場のアリアはこのオペラの白眉だったのではないだろうか。第3幕第2場の上江隼人(ロドリーゴ)のアリアも素晴らしかった。次々と打ち上げられる三尺玉のアリアがそれぞれに色や形の異なる壮麗な大輪を咲かせる様子を唯々客席から眺めているような、そんな豪華で贅沢な時間を過ごせた演奏会だったと思う。前日に何年振りかで銀座で深夜まで過ごしてしまい、万全の体調で臨めなかったことが悔やまれた。