木曽文化公園文化ホールで木曽音楽祭の最終日「フェスティヴァルコンサートⅢ」を聴いた。1975年に始まり今年で51回目を迎えたこの歴史ある室内楽の音楽祭のことは、数年前に確か津田裕也のコンサートの折に初めて知って、気になっていたのだけれど、今回初めて足を運ぶことができた。演奏者の顔ぶれから素晴らしい演奏は期待していたのだけれど、期待以上の充実感で、弦楽も素晴らしかったけれど(2曲目のフォーレのピアノ五重奏曲第2番と4曲目のブルッフの弦楽八重奏曲、特に大島亮のヴィオラの音色と伝田正則のチェロの演奏が印象的だった)、聴く機会が少なかった個性が異なる管楽器のアンサンブルの魅力に触れられたことが新鮮な悦びだった(1曲目のヤナーチェクの六重奏曲「青春」と3曲目のジョリヴェのオーボエとファゴットのためのソナティナ)。聴衆も、この音楽祭を毎年楽しみにして通い続けることで音楽を楽しむ耳を育ててこられた地元の方たちが多く集まっているような、都内の(高額な)コンサートの雰囲気とはまた少し異なる柔らかい集中力(テンション)がホールに感じられて、それがコンサートの味わいを深めていたように思える。(駐車場には首都圏、名古屋圏、関西圏、あるいはそれよりも遠方のナンバーを付けた車も少なくなかったけれど、地元松本ナンバーの車が多かった。)音楽祭の運営は、演奏者の方々にとっても裏方の皆様にとってもなかなか大変なことだろうと拝察しているけれど、この音楽祭がこれからも末永く続くことを心から願っている。来年もまた訪れたいと思っているし、この音楽祭の醍醐味は3日間の日程を通して聴くことにあるような気もしていて、いつか実現させたいと思っている。