ミロ展

東京都美術館でミロ展を観た。大学生だった頃、ミロの絵がプリントされたTシャツを好んで着ていた記憶があり、ポップに消費されるアイコンとしてのミロの作品の価値は分かるのだけれど、未だにきちんとミロの作品と出会えているような気持になれない。そんな気分で展覧会に出掛けて、多くの作品と向き合う時間を過ごせたのだけれど、やはりしっくりと来ないのである。備忘のため、いくつかのメモ書き。①冒頭にピカソが手元に所有し続けた1920年前後の作品2点が展示されていた。ピカソが20代後半のミロと初めて出会った頃の作品ということになる。ピカソはミロの中にどんな作家としての資質を見出したのだろう。そしてその資質は生涯変わることはなかったのだろうか。線、色彩、対象、構図、素材感、やはり線だろうか。その後の作品の線の表情は様々で、またミニチュア的な視線も特徴的に感じられるけれど、ミロの作家としての、あるいは人としての魅力がどこにあるのか。大画面の作品よりも、星座シリーズあたりにエッセンスがあるのか。②手話で話しながら鑑賞している3人の女性たちと前後した。表情豊かな手の動きと視覚芸術が交錯する様子が美しかった。③1932年に日本で初めて展示されたミロの作品が展示されていた。現在の観客も様々だが、1932年の観客がこの絵から何を感じていたのか、想像が難しい。