ルドフル・ブッフビンダー シューベルトの世界Ⅲ

東京文化会館小ホールで東京・春・音楽祭の「ルドフル・ブッフビンダー シューベルトの世界Ⅲ」を聴いた。前半の2つのピアノ三重奏曲(D28とD897 )は、作曲された時期や曲想の異なる2つの作品の対照が面白かったのだが、やはり後半のピアノ五重奏曲「ます」が印象深かった。ルドルフ・ブッフビンダーのピアノは、78歳とは思えない若々しくチャーミングな響きで、活き活きと音楽を楽しむ歓びに溢れているように感じられ、ともすると名のある作品として襟を正して眉聴いてしまいがちなこの曲を、仲間とのアンサンブル、合奏の楽しさに満ちた「カジュアル」な作品として味わうことができたような気がする。ルドルフ・ブッフビンダーのピアノの魅力に初めて触れられて、郷古簾と辻本玲との演奏やソロの演奏も聴いてみたかったなぁ、と思っても後の祭り、機会を見付けて是非また聴いてみたいと思っている。これで今年の東京・春・音楽祭も聞き納め。ムーティ/春祭オケの演奏を聴きに行けなくなってしまったのは残念だったけれど、素敵な演奏を楽しませて頂いたことに感謝している。