シューマンの室内楽Ⅱ

東京文化会館小ホールで東京・春・音楽祭の「シューマンの室内楽Ⅱ」を聴いた。辻本玲との共演を聴いてから津田裕也のピアノが好きになり、去年の春祭ではバッハのパルティータを聴き、今年の春祭でもこのコンサートを楽しみにしていたのだが、期待に違わず印象深いコンサートだった。1曲目のピアノ三重奏第2番は、上品な艶のある白井圭のヴァイオリン、深みのある門脇大樹のチェロ、控えめな津田裕也のピアノが木樽の中で時間をかけて円やかに溶け合ったような音楽、2曲目のおとぎ話で情熱的な村上淳一郎のヴィオラ、歌心溢れる中舘壮志のクラリネットと絡み合って津田のピアノの彩度が上がり、休憩を挟んだ3曲目の3つのロマンス(クラリネットとピアノ)と最後のピアノ四重奏曲でそれぞれの個性がさらに花開いて盛り上がる、といったチームとして考えられて練り上げられたコンサートという印象を受けた。おそらくそのベースを支えているのが津田のピアノで、控えめでありながら彩度や輝度や輪郭の明瞭さの異なる多彩な音色を丁寧に使い分けて他の楽器と響き合う音楽は、時に激しくはありつつも基本的に穏やかで、しかし丁々発止とは異なるスリリングな魅力に満ちていたと思う。このメンバーの音楽をまた聴いてみたいなぁ、木曽音楽祭に出掛けてみようか、などと感じている。会場で津田裕也が演奏するメンデルスゾーンのCDを購入して早速聴いてみた。これもしばらく愛聴することになりそうな気がする。