東京シティ・フィル第376回定期演奏会

東京オペラシティで藤岡幸夫が指揮するTCPOの第376回定期演奏会を聴いた。一曲目に演奏されたブラームスの交響曲第3番は、藤岡幸夫がプレトークで「幸せな音楽」と話していたが、山あり谷あり、平和な時期も激しい時期もある、時代や社会というよりも個人にとっての長い時間を思いながら聴いた。二曲目に演奏された伊福部昭の交響頌偈「釈迦」は、初めて聴いた曲だが、3楽章を通じて絵巻物のような物語性が感じられ、ユニゾンのシンプルな旋律の繰り返しが持つ独特の説得力と味わいに、改めて伊福部節の魅力を感じた。藤岡幸夫の指揮に応えて、オケも、100人規模の東京シティ・フィル・コーアの合唱も、気持ちの籠った迫力のある演奏だったと思う。