ベートーヴェン ピアノ協奏曲全曲演奏会

サントリーホールで現田茂夫が指揮する東京フィルハーモニー交響楽団のベートーヴェン ピアノ協奏曲全曲演奏会を聴いた。ベートーヴェンのスタイルの変遷を辿れることや、ユンディ・リの代役で弾いたチャイコフスキーのピアノ協奏曲を聴いてからなるべく聴く機会を持ちたいと思っている上原彩子の演奏を楽しみにしていたのだが、上原彩子(1番)、三浦謙司(2番)、吉見友貴(3番)、ソン・ミンス(4番)、横山幸雄(5番)という5人のピアニストの演奏を続けて聴く面白さが一番の魅力だったかもしれない。ピアニスト魅力はいろいろあると思うけれど、輝かしく光る音から淡く漂いあるいは暗く沈む音までの幅広い音色、素早いパッセージを美しく奏でるスピード、迫力のある音を生み出すパワー、個性ある曲の解釈といった要素に加えて、今回のコンサートでは、ピアニストのパワーがどれだけ音になるか、自転車で言うならばペダリング効率、比喩的な感覚だけれど、(特に弱音で)ピアニストの出力が音になる比率が高いほど雑味がなく純度の高い味わいになるような、そんな印象を受けた。オーケストラもピアノと良く響き合って、充実した演奏を楽しむことができた。