ハニワと土偶の近代

東京国立近代美術館で「ハニワと土偶の近代」を観た。縄文時代から弥生時代を経て古墳時代に至る時期のハニワや土偶を始めとする遺物を、江戸末期から明治、戦中、戦後を経て現在に至る社会、芸術、サブカルがどのように受け止めて来たかをクロノロジカルに展示する企画で、同じ遺物がそれぞれの時代の光を当てられて異なる文脈に位置づけられる様子が興味深く、また、そうは言っても遺物そのものは同じ「もの」で、この「もの」の存在が発散する時代を通じて変わらない力、素焼きの土の素材感や丸みをおびた柔らかいデザインの持つ温かさや何処となく漂うユーモアやペーソスといったものがそれぞれの時代の人たちに語りかけてきた歴史にも思いを巡らせることになった。友達に薦めてもらい会期末に間に合って幸運だった。東博の特別展「はにわ」を見逃してしまったのは惜しまれるのだけれど。
余談だけれど、同時に開催されているMOMATコレクション展で展示されている芥川(間所)紗織の染色絵画と清野賀子の写真を観に立ち寄って、これらの作品も良かったのだけれど、近くに展示されていた石井茂雄の「戒厳状態」の前で充実した時間を過ごすことができた。