第71回日本伝統工芸展

日本橋三越本店で第71回日本伝統工芸展を観た。ここ数年、毎年のように日本伝統工芸展に足を運んで、多くの作家さんが日本全国で美しい工芸品をコツコツと作られている様子を想像して励まされている(東北と北海道の作品が少ないように感じて、少し残念なのだが)。今年は、一週間前に金沢に旅行したこともあってか、特に漆芸の作品に魅力を感じた。螺鈿、沈金、蒔絵といった細工を施した作品にも、木目の美しい拭漆の作品にも、受賞作品に限らず心を惹かれる作品が多かった。もっとも、今回の展示の中で一番心を惹かれたのは吉田周平の青瓷鉦鉢で、なだらかに歪んだ縁が立ち上がる複雑で力強い貫入を纏った青磁の大鉢に地球をイメージさせる深みを感じた。どんな作家だろうと思ってネットで検索してみたところ、東北大学理学部地球物理学科を経て東京藝大で陶芸を専攻された方のようで、作品のイメージと経歴がシンクロして、ちょっと驚きだった。