響きの森クラシック・シリーズVol.80

文京シビックホールで小林研一郎が指揮する東フィルの「響きの森クラシック・シリーズ Vol.80」を聴いた。一曲目は小林愛実をソリストに迎えたモーツァルトのピアノ協奏曲20番で、聴衆に向けて開かれていく華やかな音というよりも、良い意味で音楽に向けて閉じていく(深まっていく)集中力の高い音に聴こえた。アンコールの演奏(多分シューベルト?)も同様の印象で、NHKのクラシック倶楽部でショパンの前奏曲を聴いて心惹かれてから、この演奏を生音で聴いてみたいと思っていたのだが、今回の演奏を聴いてこの人が弾くベートヴェン、あるいはシューマンを聴いてみたいと思った。二曲目はスメタナの「わが祖国」から最初の4曲で、有名なヴルタヴァ(モルダウ)だけでなく、他の曲にもそれぞれの魅力があることを改めて感じさせられた。今回は数年前に傘寿を迎えた母と一緒に聴いたのだが、数年に一度しかコンサートに足を運ばない母も、コバケンの姿や小林愛実のピアノを心から楽しんでくれたようだった。アンコールのリクエストに応えてコバケンがピアノで弾いたダニーボーイを母と一緒に聴けたことも忘れられない思い出になった。