日本フィル第143回さいたま定期演奏会

ソニックシティで日本フィルハーモニーの第143回さいたま定期演奏会を聴いた。井上道義が指揮する日本フィルのショスタコーヴィチを聴いてみたいと思い、初めてソニックシティに出掛けたのだが、大宮の土地柄だろうか、都内のコンサートとくらべて聴衆層が細分化されておらず、幅広い人たちが楽しみに来られている印象を受けた。さいたまとの県境にある東京に遅れて来た地方出身者が多い団地で小学生時代を過ごした自分には、何となく懐かしさを感じた。チェロ協奏曲第2番は、生き生きとした佐藤晴真のチェロと比較して、小振りな編成のオーケストラが大人しく感じられたのだが、ほぼ2倍の編成のオケで演奏された交響曲第10番は、聴き応えのある演奏だったと思う。一昨年のN響との交響曲第9番で感じた黒漆の輝きとは微妙に異なる、打ちっぱなしのコンクリートの鏡面のような力強さのある音が、5ミリほど重心が低めのオケから放たれてくるといったところだろうか。開演前に井上道義の簡単なトークがあったり、ステージの左右に飾られた素敵な盆栽の解説があったりと、盛り沢山で楽しいコンサートだった。