La Mère 母

東京芸術劇場シアターイーストで「La Mère 母」(作:フロリアン・ゼレール、演出:ラディスラス・ショラー)を観た。同じ場面や重なり合う場面を塗り重ねて人間を重層的に描き出す方法が興味深く、前日に映画「ファーザー」を観たこともあり、「La Mère 母」のこの方法の延長線上に「Le Père 父」があることが感じられた。「ファーザー」のアンソニー・ホプキンスも凄かったが、「La Mère 母」の若村麻由美も様々な人格を走りながらカラフルに演じていく姿が素晴らしく、自分にとっては「Le Fils 息子」よりも「La Mère 母」の方が数段楽しく感じられた。(「Le Fils 息子」の時よりも客席には芝居好きの方が多かったかもしれない。)もっとも、展開のスピード感もあってか人物の描き方にやや紋切型な印象を受けることもあって、若村麻由美がアンヌを演じた「Le Père 父」の舞台も観たかったなぁ、と思ったりもしている。