マクベス

東京芸術劇場シアターイーストで、はえぎわ×彩の国さいたま芸術劇場 ワークショップから生まれた演劇「マクベス」(演出:ノゾエ征爾)を観た。「響きと怒り(The sound and the fury)」の題名がマクベスの台詞に由来することを知って「マクベス」(福田恒存訳、新潮文庫)を読み、その流れで公演中だったこの芝居と出会うことができた。戯曲を読んだ印象と芝居を観ての印象はやはり異なり、今回の芝居からは「無常感」、日本人の感覚とは一味違うけれどもやはり無常感という言葉が似あいそうな感覚が心に残った。テキストに固定された戯曲と、一回限りで過ぎ去っていく芝居の違いもあるのだろうか。それから、魔女の存在感がよりクローズアップされていたと思う。芝居の冒頭から魔女の声に魅せられ、その身体の動きにも視線を奪われた。特に気になった魔女俳優は茂手木桜子で、この俳優の出演作品をまた観てみたいと思った。三池崇監督の「十三人の刺客」に出ているようなので、近いうちに観てみようと思う。椅子を使ったシンプルな舞台美術も、様々な組み合わせが視覚的に楽しく、床を打ち鳴らす音も迫力があり、ストイックになり過ぎない周囲の小物たちの存在と相俟って舞台を大いに惹き立てていたと思う。