響きの森クラシック・シリーズ Vol.78

文京シビックホールで小林研一郎が指揮する東フィルの「響きの森クラシック・シリーズ Vol.78」を聴いた。1曲目はラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。おそらく初めて聴いた松田華音のピアノはクリアで芯がありかつ華やかな音で、息の長いフレーズを丁寧に歌い上げる美しい演奏だったと思う。オーケストラとの絡みも、二楽章終盤の弦との掛け合いや、三楽章の豊かな響きが印象的だった。アンコールに弾いたシューマンの3つのロマンス(第2曲)も、ちょっとしたサプライズで嬉しかった。2曲目は新世界。2か月前に同じホールで聴いたコンセルトヘボウの新世界の印象がまだ残っているが、今日のコバケンと東フィルの演奏も、長い年月をかけて練り上げられ熟成されてきた音で、若干編成が小ぶりな分、それぞれの奏者が力強く演奏しているような印象を受けた。イングリッシュホルンを始めとする木管も、それからホルンも、味わい深い素敵な演奏だった。終演後の拍手をしながら、コバケンが少し歳を取られたかな(痩せられたかな)、と思ったりしたのだが、力強い声を聴くことができて安心した。来シーズンも響きの森を振ってくださるようで、いつまでもお元気でご活躍いただきたい。