パピヨン

スティーブ・マックイーンとダスティン・ホフマンが主演した1973年の「パピヨン」を観た。昨年12月に観た舞台「たわごと」で引用されていたことから購入した中古のDVDを、上海でもらったらしい新型コロナの喉の痛みに苦しみながら観たのだが、そんなものは吹き飛んでしまうようなインパクトだった。やはりこの映画の魅力は、凄まじい逆境にありながらも、どこかに正義感や冒険心といった少年のイノセントな面影を保ち続けるスティーブと、どこからか人間のユーモアが滲み出てくるダスティンの魅力だろう。それぞれに豊かな土壌に根を張った存在感に共感を覚える。最後に異なる道を選ぶ二人の様子が何とも味わい深く、似たような選択を迫られた場合にどちらを選ぶことになるのか、自分も考えさせられることになった。勢いに乗って翌日にチャーリー・ハナムとラミ・マレックが主演した2017年のリメイク版を観たのだが、映像はより精彩で美しくなり、構成も洗練されており、受ける印象は1973年版とはやや異なるのだが、かなり忠実なリメイクだと思った。それだけに、1973年版から変わった箇所について、特に最後にフランスで自伝を出版するパピヨンと終の棲家の天井に絵画を残すルイの対照について、その理由を考えさせられることになった。