小説の技法

ミラン・クンデラ著、西永良成訳「小説の技法」(岩波文庫)を読んだ。小説論を読むことはあまりないのだが(思いつくのは保坂和志の小説論くらいだろうか)、クンデラの作品は、随分以前に「存在の耐えられない軽さ」と「冗談」を読んだだけなのだが、いずれも印象深く、特に前者は映画を何度か観ていたり、西永良成と千野栄一の日本語訳の違いを強く印象付けられた記憶もあって、書店の書棚で偶々見かけた本書を手に取って購入した。クンデラの独特の小説のスタイルがどこから来るものなのか、翻訳をどう考えているのか、そもそも小説というものをどう捉えているのか、いろいろと考える切っ掛けをもらえる楽しい読書だった。自分は本に線を引いたりしない人なのだが、本書は読み進めながら気になった箇所の上に✓印を書き込んでいったところ、やはり第1部に印が多く付けられていた。クンデラの小説、あるいは本書で論じられているブロッホやカフカを読みたい気持ちになりつつも、本書と同時に購入した「巨匠とマルガリータ」を読み始めようか、ちょっと悩んでいる。