ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

文京シビックホールでファビオ・ルイージが指揮するロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏を聴いた。1曲目はビゼーの交響曲第1番で、少人数のオケがお互いの奏でたい音楽を分かり合いながら演奏しているような、演奏者と演奏者を繋ぐ見えない幾重ものラインがステージ上の演奏者だけでなく歴史を遡ったコンセルトヘボウの昔の演奏者たちとも複雑に繋がり合って稠密な綾が編み上げられているような、そんな纏まりと厚みのある温かな音に感じられた。編成が大きくなった2曲目のドヴォルザークの新世界は、最初の低弦の数音で王道の迫力が伝わる演奏で、1曲目よりもオケの重心が3センチくらい上がったような勢いと力強さを感じた。数か月前にファビオ・ルイージが指揮するN響の新世界をテレビで観た際に、その軽みを感じさせる繊細な演奏に心を打たれて、今日の演奏も楽しみにしていたのだが、聴き終えて振り返ると、ファビオ・ルイージの新世界でありつつも、コンセルトヘボウの新世界を堪能したような印象がある。アンコールのエフゲニー・オネーギンのポロネーズも、ツアーの最後を締めくくる華やかな演奏で素敵だった。地元のホールにコンセルトヘボウがやって来て素晴らしい演奏をしてくれたことが素直に心から嬉しく、思い出深いコンサートになった。それにしても、オーボエ!!、そしてフルートも、クラリネットも、イングリッシュ・ホルンも、特に木管はそれぞれに音楽を慈しみつつ楽しむ魅力に溢れていて絶品だった!