群馬交響楽団第592回定期演奏会

すみだトリフォニーホールで群馬交響楽団の第592回定期演奏会を聴いた。モーツアルトのピアノ協奏曲第23番は、井上道義の指揮で小編成のオーケストラが奏でる生き生きとした室内楽のようなチャーミングな音で始まったのだが、仲道郁代のピアノのテンポが遅い。2楽章の始まりもとても遅い。失礼ながら昔日のトウが立ったプリンセスのマイペースな演奏のように聴こえていたのだが、ふと、井上道義との今日の演奏を1秒でも長く続けたいという惜別の情ではないかと思い至ってから、聴こえ方ががらりと変わった。3楽章はピアノのテンポも上がり、美しい音楽だった。アンコールのブラームスの間奏曲(117₋1)も心に沁みた。メインディッシュはショスタコーヴィチの交響曲第4番で、初めてきちんと聴いたと思うのだが、音楽が流れるというよりもその場に積み重なって世界を立ち上げていくような第1楽章に魅力を感じた。それと比べると、第2楽章はやや単調に感じてしまい、その気分が第3楽章にも影響してしまったかもしれないが、しなやかな線で描き込んでいくような群馬交響楽団の音は素晴らしく、最後まで緊張感をもって演奏を楽しむことができた。演奏後、会場が明るくなっても鳴り止まない拍手に井上道義が何時ものようにユーモラスに応えていた。こんなに元気そうな「天才」井上道義が来年末で引退するのはホントウに惜しまれる。来月の読響とのマーラーの復活、来年2月のN響とのショスタコーヴィチの交響曲第13番のチケットは購入してあるが、その後もできる限り聴きに行きたいと思う。マーラーの9番をやってくれないかなぁ。