蔡國強 宇宙遊-〈原初火球〉から始まる

国立新美術館で「蔡國強 宇宙遊-〈原初火球〉から始まる」を観た。入口のそばにある「Return to Darkness」の静謐な深さを感じさせる作品とその制作風景映像を観て、現代美術と東洋の鮮やかな交差に目も心も奪われたのだが、展覧会を通しての印象はそうした整った理解や共感の枠組みを超えるもので、むしろ自分とは異質で遠く隔たった感性や熱量を感じるものだった。その意味でも、貴重な経験だったように思える。蔡國強が北京オリンピックの花火の演出を手掛けたことすら知らず、国立新美術館のHPを観て「面白そう」と思っただけで出掛けたのだが、「面白い」の枠に収まらない面白さだった。