響きの森クラシック・シリーズ Vol.76

文京シビックホールで東フィルの「響きの森クラシック・シリーズ Vol.76」を聴いた。指揮者にコバケンを迎えたチャイコフスキー・プログラムで、華やかなエフゲニー・オネーギンのポロネーズから、コロナ禍とホールの改修で3年半ぶりとなった響きの森が始まった。ヴァイオリン・コンチェルトは、黒とメタリックなブルーグレーのドレスを纏ったソリストの服部百音が、時折ステージを踏み鳴らしながら、引き締まった漆黒の音の渦を作る鍛えられた演奏だったが、そのクール・ビューティーな寒色系の音楽と暖色系が勝るオケの間にやや距離が開いている印象。チャイ5は、第一楽章からコバケン&東フィルの魅力が全開となるフル・スロットルの熱演で、第二楽章のホルンやオーボエの演奏も素晴らしく、後半もそのままの勢いが尽きない名演だったと思う。今回からシーズンチケットの座席を2階席にしたのだが、以前よりも音がダイレクトに届くような印象を受けた。時折左手後方に左腕と目線を投げかけるコバケンと目が合うような気もして、印象深いコンサートになった。