マティス展

東京都美術館で「マティス展」を観た。一人の作家の作品をクロノロジカルに観ると、やはりその作家の人生を想像してしまうのだが、特にマティスは自分と生年がほぼ100年違いなので、作品の年代とマティスの年齢が、100年違いで自分の過ごしてきた(あるいはこれから過ごすかもしれない)時間と何となく重なり合ったりして、また、100年前に自分が生まれていたことを想像したりもしながら、マティスの生き様に改めて敬意を抱きつつ、展示を楽しむことができた。自分には、マティスの絵が30代から40代にかけて力強さやある種の厳密な深みのある美しさを増していく様子や、60代以降のより自由で大らかな表現にも魅力を感じたが、50代の充実した複雑なハーモニーを聴くような作品にも強く惹かれた。
余談だが、展覧会のあとは、坂本龍一が「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」(新潮社)の中で立ち寄ったと書いていた古本屋を訪ね、単行本を数冊購入してから、日暮里の山内屋で日本酒とワインを購入して帰った。