森の王 森の声 ~遊動の民ラウテ~

録画してあったNHKのBSプレミアム「森の王 森の声 ~遊動の民ラウテ~」を観た。自分以外の同居する家族全員がコロナに感染し、幸か不幸か週末は家の中で心置きなく一人でまとまった時間を使える環境になったので、読書をしつつ、撮り溜めてしまっていたテレビ番組の中から「日銀”異次元緩和”の10年」、「日本の教育を変える~インド出身副校長波乱の1年」、「暴力の人類史 ”悪魔”の誘惑と戦う」、「”家畜” それは遺伝子の共進化」といった番組も観たのだが、10年間をかけてネパールの山間部を移動しながら暮らす僅か140人の少数民族ラウテを取材した「森の王 森の声 ~遊動の民ラウテ~」は、労作であり、見応えのある映像だったと思う。90分の番組には、個人や社会の歴史や現在を取り巻く様々な要素が作為なく流れ込んでいて、10年間の地道な取材がなければ残せなかった姿や風景、記憶や気持ちが映り込んでいると思う。千年にわたり定住者のアンチテーゼを生きてきて、今は定住化を強いられつつあるラウテの人たちが、そして富永愛にちょっと似ていて(?)「(将来を)怖れない」と言う21歳のラウテの女性サムジャナさん(思い出や記憶という意味の名前らしい)が、あるいはネパールの定住者の人たちやその人たちの国家が、これからどういうラウテの未来を拓いていくのか、いろいろと考えさせられた。こうした番組をテレビで届けてくださった方々に感謝したい。