群像短篇名作選(2000-2014)

群像短篇名作選(2000-2014)(講談社文芸文庫)を読んだ。1946年から1969年、1970年から1999年の短篇を読んできた後で2000年から2014年の短篇を読んで感じるのは、磨かれた心地よい軽さの感触だろうか。(そういえば前の2冊と比較するとページ数がちょっと少なくて軽かった。2300円という値段は一緒だけれど。)想像力の飛翔、爆発、暴走、というよりも少しばかり地面を離れて浮遊する感じ。巧みな笑いもある。併行して読んだいわゆる震災後文学と言われる川上弘美の「神様2011」や高橋源一郎の「恋する原発」にも共通する手触りを感じた。辺見庸の「瓦礫の中から言葉を」は、原民喜の「夏の花」を引いていたけれど。2015年以降の日本の短篇がどんな雰囲気を身に纏っているのか、文芸誌を買ったこともない自分には良く分からないのだが、それは書き手や出版社が作るものでありつつも、読み手が作るものでもあるはずで、一読者としては、時代がひと回りして1945年以前の状況が形を変えて近づいてきたら気付けるように、1937年から1945年あたりの短篇も読んでみようかと思ったりしている。