今井俊介 スカートと風景(東京オペラシティ アートギャラリー)

東京オペラシティ アートギャラリーで「今井俊介 スカートと風景」を見た。コンサートまで時間があったので、母と一緒に入り、大きな絵画の前でソファに腰かけてしばらくのあいだ色彩が躍る平面を眺めた。「きれいな色ね」「朗らかだね」「あの絵のあの色とこの絵のこの色は少し違う」などと絵を見ながら「分からないね」という母に、「自分も分からない」と答えつつ、それでも心地の良い時間が過ぎて、母と美術館に来るのは数十年ぶりで、もう一緒に来ることもないかもしれないと思ったりしていた。数日して、大手町の地下道で前を歩く女性のプリントスカートが歩くリズムにあわせて揺れ動く様子を見ながら、「何を描くべきか」という問いに向き合う中で、ふと目にした知人のスカートを見て瞬間的に「これを描けば良い」と腑に落ちた、という作家の言葉を思い出した。