ルトスワフスキのチェロ協奏曲

東京文化会館で東京都交響楽団第973回定期演奏会を聴いた。ルトスワフスキのチェロ協奏曲を初めて聴いたのだが、明晰で解像度が高い大野和士・都響のカラーが出た金管を中心とするパートと、即興性が醸し出すズレやブレを含むチェロを中心とするパートとの対照がスリリングで、片山杜秀の愉しい紹介文の力もあってか、思わず身体が前のめりになるような気持ちの昂る演奏だった。現代曲は難解そうに思えて敬遠しがちだけれど、この演奏を聴いたことでこの曲との距離が一気に縮まったように思える。本邦初演のタネージのタイム・フライズは、第3曲(Tokyo)はやや硬い演奏といった印象を受けたけれど、第2曲(Hamburg)が素敵だった。エニグマ変奏曲も締め括りに相応しい味わい深い演奏だった。